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私が関わった「藤山寛美十八番箱」収録作品の 〜 我が「青春の缶詰め」を訪ねて 〜 |
文責 元・読売テレビ放送 制作技術局
「松竹新喜劇」劇場中継 技術スタッフ
田口 善敏
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「おやじの女」(昭和53年12月中座公演) |
「お種と仙太郎」(昭和54年7月新橋演舞場公演) |
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「花ざくろ」(昭和55年3月御園座公演) |
「線路のこおろぎ」(昭和56年9月中座公演) |
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「大当り高津の富くじ」(昭和57年5月中座公演) |
「南地大和屋へらへら踊り」(昭和61年10月南座公演) |
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「噂草紙左甚五郎」(昭和62年2月中座公演) |
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【おやじの女】 安藤鶴夫・原作、館直志・脚色、平戸敬二・補綴、
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第一場 若葉つるの家第二場 同(夜)
第三場 同家の裏
【人物】
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藤一郎の妹 やす子 :月城 小夜子 |
三味線ひき 野沢 半助:藤山 寛美 |
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その友人 美代子 :滝 由女路 |
人形つかい 吉田 紋々:喜多 康樹 |
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同 たみ子 :御園 恵美子 |
会社員 若葉 藤一郎 :中川 雅夫 |
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同 眞知子 :青葉 寿々代 |
その妻 はつ子 :四条 栄美 |
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同 君江 :田代 博子 |
伊勢吉の主人 吉造 :長谷川 稔 |
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藤一郎の母 つる :滝見 すが子 |
興業会社社長 大隅 :伴 心平 |
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近所の主婦 わか子 :大路 美也子 |
花村よね :酒井 光子 |
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同 糸子 :羽衣 美砂子 |
町内の人 林 :岩田 正 |
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半助の妻 くみ子 :御陵 多栄子 |
同 竹本 :沢田 光生 |
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知人 佐々木 :東 光男 |
警官 宮本 :曽我廼家五九郎 |
【劇場中継スタッフ】
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プロデューサー :山田 直也 |
第1カメラ :山下 栄一 |
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ディレクター :北野 桂子 |
第2カメラ :安東 武史 |
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フロァ・ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク) |
第3カメラ :田口 善敏 |
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アナウンサー :小松 昿代 |
音声 :丸尾 俊文 |
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メイク :金森 美恵子 |
音声 :和田 貢 |
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照明 :岸本 敬二 |
調整 :黒田 昌男 |
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技術 :藤川 敏雄 |
調整 :橋本 博光 |
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スイッチャー :岸田 功 |
VTR :熊倉 正彦 |
【緞帳が降りて】本妻と妾の血で血を洗う争い・・・、まさに女の本性、憎しみの奥にある優しさとせつなさが、劇作家・館直志の目を通して描かれた名狂言と言えるだろう。
永年本妻(滝見すが子)の前に姿を現すことが出来なかった「おやじの女」(酒井光子)が、突然「死んだあの人に線香をあげたい」と登場することからこの舞台は始まる。おやじの実弟で、おやじの行動をすべて知っていた幕内の三味線引き・野沢半助(藤山寛美)が、本妻と妾の間を取り持とうとするが、おふくろの苦労をよく知っている堅気のサラリーマン・長男(中川雅夫)は猛反対する。はたしてその結末やいかに。藤山寛美さんと言う天才役者は、いつもいつも主役を張っていた訳ではない。藤山さんの上手さは、「おやじの女」のような狂言回しの傍役に廻った時でも、たえず舞台の中心にいて、主役を引き立たせるような演技をいかんなく発揮する。米田亘さんの「解説」によれば、初演は昭和36年5月中座公演。野沢半助に二代目渋谷天外、本妻・若葉つるに花村美津子、長男藤一郎に藤山寛美、その妻はつ子に中村あやめ、おやじの女・花村よねに初代石河薫、伊勢吉に曽我廼家五郎八、大隈は曽我廼家明蝶であった、という。まさに「芸のためなら女房も泣かす、それがどうした文句があるか」(「浪花恋しぐれ」)の世界である。芸人の家に生まれ、女極道の果てに死んだ「おやじ」を反面教師として育ち、会社勤めをしている長男(初演時、藤山寛美)を舞台に配置した館直志の創作力は鋭いものがある。今回、これを書くにあたり「安藤鶴夫作品集」(朝日新聞社、全6巻、昭和45年8月〜昭和46年1月)の随筆「おやじの女」を読み返して驚いた。昭和35年12月に「オール読物」に発表した随筆には、アンツルさんのおやじの女道楽ぶりが書かれているものの、「通夜の晩、おッ師匠(しょ)さんの義太夫をどうしても聞かせてくれというひとがいた」で始まる文章は、最後の最後にちょろっと出て来るだけである。こんな短い文章から、名作「おやじの女」を創り上げた館直志は凄い。パソコン・ソフトを造り出すソフト屋さんの頭脳にも感心するが、劇作家の、しかも短期間に、賞賛を浴びる作品として舞台化する創造力には驚かされる。「通夜の晩、おッ師匠(しょ)さんの義太夫をどうしても聞かせてくれというひと」は花村さんと言うが、「よね」であったかどうかは、判らない。お互いに憎しみ合う女同志であったとしても、その対象の中心であった「おやじ」が亡くなり、仏壇に手を合わせたい、と願う「おやじの女」のことを、説得された末とは言え、寛容な心で迎えた本妻の気持ちも理解出来るのではあるまいか。しかし、勧められるままに宴たけなわとなり、酔いに任せて夫の遺骨が欲しいとは何ごとだ。酒井さん演じる「おやじの女・花村よね」の悲しみと意地と見栄。酔うほどにその本性をむき出しにして行く名優・酒井光子さんの独壇場である。対する「本妻・つる」の怒りと夫の愛人への女であるが故のかすかな共感、改めて煮えたぎる憎しみ、滝見すが子さんの押さえた末の演技が光る。相容れないふたりの女に、それぞれ感情移入出来る作劇術が、この芝居の見どころである。館直志・作の文芸喜劇路線の秀作、名作中の名作、心に残る作品と言える。本妻と「おやじの女」が揉めているところに飛び込んで来る警察役の曽我廼家五九郎さんは、新加入お披露目。昭和63年6月中座公演の劇場中継が、私の17年間に及ぶ「松竹新喜劇」との最後の仕事となったが、この時の狂言が「おやじの女」であった。参考のために、ふたつの公演記録を比較しておきたい。【人物】
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昭和53年12月中座公演「おやじの女」 |
昭和63年6月中座公演「おやじの女」 |
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藤一郎の妹 やす子 :月城 小夜子 |
藤一郎の妹 夏子 :花井 万津恵 |
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その友人 美代子 :滝 由女路 |
その友人 美代子 :川奈美 弥生 |
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同 たみ子 :御園 恵美子 |
同 たみ子 :歌園 香織 |
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同 眞知子 :青葉 寿々代 |
同 真知子 :瀬々良木 澄江 |
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同 君江 :田代 博子 |
同 君江 :姿 美穂 |
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藤一郎の母 つる :滝見 すが子 |
藤一郎の母 つる :宮村 八須絵 |
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近所の主婦 わか子 :大路 美也子 |
近所の主婦 わか子 :岸本 康子 |
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同 糸子 :羽衣 美砂子 |
同 糸子 :義士廼家 緑 |
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近所の女 A :田辺 厚子 |
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同 B :美里 羽衣子 |
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半助の妻 くみ子 :御陵 多栄子 |
半助の妻 くみ子 :御陵 多栄子 |
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知人 佐々木 :東 光男 |
知人 佐々木 :八木 五文楽 |
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三味線ひき 野沢 半助:藤山 寛美 |
三味線ひき 野沢 半助:藤山 寛美 |
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人形つかい 吉田 紋々:喜多 康樹 |
人形つかい 吉田 紋々:喜多 康樹 |
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会社員 若葉 藤一郎 :中川 雅夫 |
会社員 若葉 藤一郎 :都築 謙次 |
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その妻 はつ子 :四条 栄美 |
その妻 はつ子 :四条 栄美 |
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伊勢吉の主人 吉造 :長谷川 稔 |
伊勢吉の主人 吉造 :小島 慶四郎 |
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興業会社社長 大隅 :伴 心平 |
興業会社社長 大岡 :高田 次郎 |
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花村よね :酒井 光子 |
花村よね :井上 英以子 |
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町内の人 林 :岩田 正 |
町内の人 林 :白羽 大介 |
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同 竹本 :沢田 光生 |
同 竹本 :梅大路 満 |
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警官 宮本 :曽我廼家五九郎 |
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私の担当 :第3カメラ |
私の担当 :第1カメラ |
役者が代われば舞台も変わるのは当たり前だが、酒井光子さんと滝見すが子さんの「女の争い」に軍配を挙げたい。新旧「おやじの女」劇場中継スタッフは、次の通り。
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担当業務 |
昭和53年版スタッフ |
昭和63年版スタッフ |
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プロデューサー |
:山田直也 |
:山田直也 |
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ディレクター |
:北野桂子 |
:香西謙二(ビデオワーク) |
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メイク |
:金森恵美子 |
:金森恵美子 |
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アナウンサー |
:小松昿代(契約アナ) |
:小松昿代(契約アナ) |
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照明 |
:岸本敬二 |
:岸本敬二 |
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チーフ・テクニカル・ディレクター |
:藤川敏雄 |
:徳久多久美 |
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スイッチャー |
:岸田功 |
:中本嘉文 |
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第1カメラ |
:山下栄一 |
:田口善敏 |
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第2カメラ |
:安東武史 |
:坂口拓磨 |
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第3カメラ |
:田口善敏 |
:橘俊男 |
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音声 |
:丸尾俊文 |
:鈴木輝彦 |
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音声 |
:和田貢 |
:新井啓喜 |
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調整 |
:黒田昌男 |
:中尾統一 |
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VTR |
:熊倉正彦、橋本博光 |
昭和53(1978)年公演と言えば、もう30年前の出来事である。このような名作中の名作と言える狂言を、今後もまた、観ることが出来るのであろうか。(2007年8月9日、記)
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【お種と仙太郎】 茂林寺文福・作、平戸敬二・脚色、 |
住吉神社境内の茶店 一幕
【人物】
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住吉講世話方 松吉 :沢田 光生 |
木津屋のご寮さん お徳:酒井 光子 |
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講中の人 おえん :岸本 康子 |
その息子 新之助 :渋谷 天笑 |
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同 お吉 :佐久良 国子 |
その新妻 お初 :田代 博子 |
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参詣の男 伊助 :守田 秀郎 |
茶店の女主人 お岩 :藤山 寛美 |
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その妻 お時 :御陵 多栄子 |
お種の姉 お兼 :大津 十詩子 |
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新町の太鼓持ち 豆八 :喜多 康樹 |
知り合いの人 お富 :滝見 すが子 |
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大坂の旦那 浪花屋助右衛門:八木 五文楽 |
その亭主 佐吉 :長谷川 稔 |
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江戸の客 江戸屋善九郎:曽我廼家 五九郎 |
丹波屋 清兵エ :伴 心平 |
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新町の芸者 梅吉 :滝 由女路 |
その女房 おぬい :双葉 弘子 |
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同 小萬 :御園 恵美子 |
その息子 清二郎 :中川 雅夫 |
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同 春駒 :生島 康子 |
その若妻 お久 :月城 小夜子 |
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同 菊丸 :青葉 寿々代 |
丹波屋手代 萬吉 :宮路 拓也 |
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仲居 お浅 :羽衣 美砂子 |
参詣の人 :秋草、中根、羽根田、鶴見 |
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お岩の倅 仙太郎 :曽我廼家 文童 |
講中の人 :林、木曽川、松田、梓、足立 |
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その女房 お種 :四条 栄美 |
同 :築紫、井上、岡本、金本 |
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住吉神社仕丁 太吉 :小島 慶四郎 |
【劇場中継スタッフ】
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チーフ・プロデューサー :笹川 博敏 |
スイッチャー:徳久 多久美 |
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プロデューサー&ディレクター:山田 直也 |
第1カメラ :岸田 功 |
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アシスタント・ディレクター :鍛冶 國義 |
第2カメラ :田口 善敏 |
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フロァ・ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク) |
第3カメラ :野村 武史 |
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アナウンサー :小松 昿代(フリー) |
音声 :和田 貢 |
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照明 :岸本 敬二 |
音声 :中村 吉宏 |
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メイク :金森 美恵子 |
調整、VTR:日本電子工学院 |
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テクニカル・ディレクター:藤川 敏雄 |
【緞帳が降りて】年中無休で連続公演を続ける「松竹新喜劇」の年間スケジュールは、ほぼ決まっていて、毎年夏場になると新橋演舞場での公演が恒例となっている。しかし、新橋演舞場が老朽化し建て替えられることになり、その期間中は明治座での公演となった。この舞台は「松竹新喜劇」の旧・新橋演舞場での最後の舞台である。旧・新橋演舞場の正面左手には外部からも入れるようになった食堂があった。もちろん、楽屋にも通じていて、我々が行くと、出番を控えた役者さんが舞台の扮装のまま食事をしていた。守田秀郎さんが銀行員のような格好をして、ホッケの干物を食べていたこともあった。小島慶四郎さんは、浴衣姿のまま食堂に現れ、我々スタッフを見つけると、阪神タイガースの不振ぶりを、あのダミ声で嘆いていた。この食堂のエァコンは毎年のことだが、何故か大きな騒音を出していたことを思い出す。
新橋演舞場は、築地の市場に近い。昼飯をよく食べに行った。まぐろの中骨についた身を取り落としたお刺身「なかおち」が旨い。形は崩れてはいても、味は一緒。崩れた刺身など東京人は食べないだろう、と思われがちだが、旨い食べ物に東西はない。しかし、あの蕎麦の出し汁には、最初は驚いた。まぁ、馴れてくればあの色も気にならなくなったが、千葉出身のおばさんが毎朝出してくれた納豆だけは、どうしようもなかった。楽屋話はそれぐらいにして、それでは本題に移ろう。米田亘さんの「解説」によると、藤山さんが嫁の「お種」(四条栄美)を虐める「お岩」を演じたのは、この公演が初めてだそうです。お爺さん役は何度も観ていますが、お婆さん役は珍しいですね。女役が全くないかと言うと、そうではなく、昭和38年5月中座公演の「台所太平記」という狂言で、割烹着を着た女役の藤山さんの舞台写真(昭和60年1-2月「藤山寛美舞台生活満五十年」公演パンフレッド「華やかな寛美の来し方・未来」掲載)を見たことがあります。藤山さんの女役も珍しいですが、憎まれ役という役柄も、他には「愛の設計図」という狂言がありますが、珍しい作品ですね。「姑の 日なたぼっこは 内を向き」という川柳があるように、嫁いびりは古今東西、永遠に不滅な世代間の女の戦いなんでしょうな。だからこそ、舞台上で展開されている我が身の日常生活を、同意したり反省したり。「人の振り見て、我が振り直せ」とは昔からの諺。お岩さんのように気付いてくれればいいのですが、今日びの姑は元気で活発。なかなか気付いてや、おますまい。嫁もそないおとなしいもんでは、ないやろね。この「お種」のようなイビラれる可哀想な嫁役は、四条さんの役柄にびったり。まさに適役、はまり役と言えるだろう。御大・藤山さんに相手をしてもらい、観客の笑いを取る対象にされることによって、自身の役柄を全う出来る“お得な、おいしい”役回り。言い換えれば、藤山さんの演技によって生かされている舞台と言っていいだろう。藤山さんとの台詞のやり取りをよく観ていると、姑の嫁イビリというよりも、劇団の座長が幹部女優に「芝居とは何か」を説いているように聞こえたのは、私だけであろうか。例えば、次のような台詞です。
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人物 |
役者 |
舞台上の台詞 |
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幹部女優 四条 栄美 |
:四条 栄美 |
「すいません。私がみんな悪うおました」 |
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松竹新喜劇座長 藤山 寛美 |
:藤山 寛美 |
「また。私、それが気に入りまへんね。すんまへん、すんまへん、ちゅうて、あんた。ちょっとも直そと、しはらへんやないか。云うぐらいのことやったら、何んぼでも云えますわいな」 |
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幹部女優 四条 栄美 |
:四条 栄美 |
「これから気をつけます」 |
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松竹新喜劇座長 藤山 寛美 |
:藤山 寛美 |
「これから、これから、て、この間もこれからや。あんたのこれからは、いつからだすねん」 |
「藤山寛美十八番箱-伍」に収納されている狂言は、昭和60年10月南座公演の作品である。両作品の主な役者さんを比較御紹介しましょう。【人物】
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昭和54年7月新橋演舞場公演「お種と仙太郎」 |
昭和60年10月南座公演「お種と仙太郎」 |
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参詣の男 伊助 :守田 秀郎 |
参詣の男 伊助 :喜多 康樹 |
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その妻 お時 :御陵 多栄子 |
その女房 お時 :藤枝 由美江 |
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新町の女将 お浅 :御陵 多栄子 |
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新町の太鼓持ち 豆八 :喜多 康樹 |
同 太鼓持ち 豆八 :中川 雅夫 |
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大坂の旦那 浪花屋助右衛門:八木 五文楽 |
浪花屋 助右衛門 :曽我廼家 五九郎 |
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江戸の客 江戸屋善九郎:曽我廼家 五九郎 |
浪花屋の客 佐野屋 :梅大路 満 |
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新町の芸者 梅吉 :滝 由女路 |
− |
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同 小萬 :御園 恵美子 |
新町の芸者 小萬 :滝 由女路 |
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同 菊丸 :青葉 寿々代 |
同 菊丸 :千里野 朱美 |
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同 春駒 :生島 康子 |
同 梅香 :山田 弥生 |
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お岩の倅 仙太郎 :曽我廼家 文童 |
お岩の倅 仙太郎 :曽我廼家 文童 |
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その女房 お種 :四条 栄美 |
その女房 お種 :四条 栄美 |
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住吉神社仕丁 太吉 :小島 慶四郎 |
宮男 太吉 :曽我廼家 八十吉 |
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木津屋のご寮さん お徳:酒井 光子 |
木津屋ご寮さん お徳 :正司 照恵 |
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その息子 新之助 :渋谷 天笑 |
その息子 清之助 :曽我廼家 玉太呂 |
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その新妻 お初 :田代 博子 |
その若女房 お初 :花井 万津恵 |
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茶店の女主人 お岩 :藤山 寛美 |
茶店の女主人 お岩 :藤山 寛美 |
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お種の姉 お兼 :大津 十詩子 |
− |
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− |
宮司 六条 :小島 慶四郎 |
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− |
巫女 千乃 :大堀 香織 |
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知り合いの人 お富 :滝見 すが子 |
お岩の知人 お富 :岸本 康子 |
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その亭主 佐吉 :長谷川 稔 |
その亭主 佐吉 :八木 五文楽 |
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丹波屋 清兵エ :伴 心平 |
− |
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その女房 おぬい :双葉 弘子 |
丹波屋ご寮さん おえい:香川 桂子 |
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その息子 清二郎 :中川 雅夫 |
その息子 新二郎 :高田 次郎 |
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その女房 お久 :月城 小夜子 |
その女房 お久 :月城 小夜子 |
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丹波屋手代 萬吉 :宮路 拓也 |
− |
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私の担当 :第2カメラ |
私の担当 : − |
ふたつの狂言の大きな違いは、大詰めの「お岩」の嫁いびりを止めさせるために、ひと芝居打つ場面である。新橋演舞場版は、今は息子の嫁である「お岩」の娘(月城小夜子)を、姑(双葉弘子)が“いびる”のではなく、舅(伴心平)がいびることになっているが、南座版は、「お岩」の娘(月城小夜子)を、姑(香川桂子)が“いびる”ように改作されている。嫁いびりが主題であるならば、南座版の方が自然であり、原題「おうむ茶屋」に相応しい演出と言える。本来、南座版であった芝居を、やむを得ぬ事情により変更したのであろう。永遠のテーマをこのような形で、しかも藤山さんの女形という“おまけ”まで付けて演じられた喜劇は、間違いなく名作と言えるだろう。(2007年9月1日、記)
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【花ざくろ】 館直志・作、
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第一場 緑樹園内の離れ家第二場 同(数日後)
第三場 緑樹園の表
【人物】
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植木の運搬人 A :千葉 蝶志朗 |
加代の伯父 関 :東 光男 |
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同 B :藤咲 賛多郎 |
その妻 よし子 :岸本 康子 |
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同 C :鶴見 寛太郎 |
知人 元山 :長谷川 稔 |
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同 D :藤川 八十吉 |
三次郎の叔母 塚本らく:滝見 すが子 |
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お手伝いさん はる :林 千恵 |
植木職人 垣山三次郎 :藤山 寛美 |
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トラック運転手 美里 :岩田 正 |
高橋の娘 園江 :滝 由女路 |
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客 康子 :佐久良 国子 |
その良人 日野栄三 :渋谷 天笑 |
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その良人 :喜多 康樹 |
三次郎の妻 加代 :大津 十詩子 |
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使用人 平川 :小島 慶四郎 |
近所の奥様 光江 :双葉 弘子 |
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知人 岸田 :曽我廼家 五九郎 |
同 お手伝い 豊子 :田代 博子 |
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PRガーデンの 小泉 :服部 哲治 |
三次郎友人 安井 :金乃 成樹 |
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緑樹園主人 高橋 :伴 心平 |
同 山本 :沢田 光生 |
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その妻 ふみ :勝浦 千浪 |
加代の友人 珠子 :御陵 多栄子 |
【劇場中継スタッフ】
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チーフ・プロデューサー :笹川 博敏 |
第1カメラ :門田 正雄 |
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プロデューサー :山田 直也 |
第2カメラ :田口 善敏 |
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ディレクター :鍛冶 國義 |
第3カメラ :野村 武史 |
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フロァ・ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク) |
音声 :中村 吉宏 |
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アナウンサー :小松 昿代(契約アナ) |
音声 :和田 貢 |
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照明 :岸本 敬二 |
調整 :黒田 昌男 |
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メイク :金森 美恵子 |
調整 :中尾 統一 |
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テクニカル・ディレクター:藤川 敏雄 |
VTR :細川 泰嗣 |
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スイッチャー :岸田 功 |
技術協力 :榊原テレビ機配 |
【緞帳が降りて】舘直志の名作「花ざくろ」と言えば、「植木職人・三次郎の妻・加代」は憎々しい程の演技でお馴染みの曽我廼家鶴蝶さんを思い出すが、この作品は鶴蝶さんが退団したその後を継いだ「二代目・加代」大津十詩子さんの「花ざくろ」である。
昭和52年8月に退団した鶴蝶さんの後継者を探すならば、それは大津十詩子さんではなかったか、と思う。大津さんは、尻を掻きながら亭主をボロカスに言うような長屋のおかみさんから、上品な教養溢れた上流階級の若奥様役までやってのける、幅広い芸域を持った女優さんである。つまりは、鶴蝶さんや酒井さんのように、いずれはどのような役柄であっても、観客を満足させる人物像を自己主張出来る女優さんではなかっただろうか。一定の枠に限定された役柄ではなく、ありとあらゆる人物に迫る役柄を目指した、その進化の過程であった時期の作品が、この「花ざくろ」と言える。大津十詩子さんの「二代目・加代」は、「初代・加代」鶴蝶さんと比べれば、亭主を馬鹿にしている度合いがやや薄いように感じられるが、それは鶴蝶さんと大津さんの風貌や衣装、実年齢の差から受ける印象であろう。もっと言うならば、藤山=鶴蝶の夫婦と、藤山=大津の夫婦では、たとえ「加代」の前歴や「緑樹園の大将」に勧められた結婚であることが一緒であったとしても、夫婦間の年齢差が大きく違うことを、大津が登場した瞬間に観客の皆さんは知ることになる。落語という「舌耕芸」であれば「舌先三寸」、噺家が語る言葉から人物像を想像する。聴き手がそれぞれ、それこそ今までの経験を基にしたレベルで人物像を想像するしかない。しかし、芝居は役者が扮装して化粧をしてその役柄に成り切って登場する。観客の皆さんは、役者が扮した人物像をダイレクトに受け取ってしまう。これは落語と比較して(比較することに無理があるが)芝居の持つ大きな表現メリットでもあり、また、逆に制約でもある。「二代目・加代」は先代に比べて、年齢が若く観られ、夫婦の年齢差が離れていると観られたが故に、若い女房がわがままを言っているように、私自身は受け取れた。「亭主を馬鹿にしている度合いがやや薄いように感じられた」のは、そう言うことだ。しかし、年が離れた「松の木か、石灯籠」のような亭主に対する不満から、暴力を振るう男と浮気をする女の性は、大津十詩子さんの「二代目・加代」に充分感じられた。役者が代われば、役柄の人物像が微妙に代わるのは当たり前。大津さんは、大津さんなりの「加代」像を創りあげればいいのである。ある時、芝居がハネたもう遅い時間だったが、池袋のホテルの中にある閉店したブティックの前に佇む大津さんの姿を見たことがある。普段外出するような正装をして、寒い季節であったが、コートを羽織っていた。ブラブラと歩き、佇んでは考えている様子。どこかに外出した帰りとは、とうてい思えなかった。いろいろな役柄を演じ、いくつもの人生を演じた大津さんであろうが、素顔の自分自身を取り戻す時間であったのかも知れない。「お疲れさんでした」と声を掛けることも出来ず、足早にそこを立ち去りました。米田亘さんの「解説」によれば、昭和39年5月中座公演が初演。幸いにして、初代「三次郎の妻・加代」を曽我廼家鶴蝶さん(昭和51年8月新橋演舞場)、二代目の大津十詩子さん(昭和55年3月御園座公演)が演じた劇場中継台本と、三代目四条栄美さん(昭和59年5月中座公演)が演じた「藤山寛美十八番箱-伍」DVDが揃っているので、主なる役どころを比較しておこう。
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主な配役 |
昭和51年8月新橋演舞場 |
昭和55年3月御園座 |
昭和59年5月中座 |
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お手伝い はる |
:月城 小夜子 |
:林 千恵 |
:月城 小夜子 |
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使用人 平川 |
:小島 慶四郎 |
:小島 慶四郎 |
:中川 雅夫 |
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知人 岸田 |
:長谷川 稔 |
:曽我廼家 五九郎 |
:白羽 大介 |
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PRガーデン 小泉 |
:三井 康弘 |
:服部 哲治 |
:長谷川 稔 |
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緑樹園主人 高橋 |
:花和 幸助 |
:伴 心平 |
:高田 次郎 |
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加代の叔父 関 |
:伴 心平 |
:東 光男 |
:曽我廼家 五九郎 |
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その妻 よし子 |
:滝見 すが子 |
:岸本 康子 |
:正司 照江 |
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高橋の妻 おふみ |
:酒井 光子 |
:勝浦 千浪 |
:勝浦 千浪 |
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知人 元山 |
:八木 五文楽 |
:長谷川 稔 |
:喜多 康樹 |
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叔母 塚本らく |
:石河 薫 |
:滝見 すが子 |
:義士廼家 緑 |
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植木職人 垣山 三次郎 |
:藤山寛美 |
:藤山寛美 |
:藤山寛美 |
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高橋の娘 園江 |
:滝 由女路 |
:滝 由女路 |
:滝 由女路 |
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園江の良人 日野 栄三 |
:中川 雅夫 |
:渋谷 天笑 |
:曽我廼家 玉太呂 |
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三次郎の妻 加代 |
:曽我廼家 鶴蝶 |
:大津 十詩子 |
:四条 栄美 |
|
近所の奥様 光江 |
:勝浦 千浪 |
:双葉 弘子 |
:御園 恵美子 |
|
同 お手伝 豊子 |
:田代 博子 |
:田代 博子 |
:園 寛子 |
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三次郎友人 安井 |
:岩田 正 |
:金乃 成樹 |
:曽我廼家 八十吉 |
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同 山本 |
: − |
:沢田 光生 |
:沢田 光生 |
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加代の友人 珠子 |
:大路 美也子 |
:御陵 多栄子 |
:岸本 康子 |
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私の担当 |
: − |
:第2カメラ |
: − |
これ以前の公演では、「緑樹園主人 高橋」を渋谷天外さんが不自由な身体を押して出演していたことを記憶しているが、残念ながら、その劇場中継台本は手許にはない。それにしても、こうして歴代の役者さんを比べてみると、なかなか面白い。「植木職人 三次郎」を取り巻く役者さんの芸の遍歴と言える。特に「三次郎夫婦」の身内であり、「姪の加代」の行動に批判的で、そのことを「三次郎」に謝らなければならない立場にある「加代の叔父夫妻」と、「加代」との結婚を勧めた「緑樹園主人 高橋」にも腹を起てている「三次郎の叔母」役が興味深い。このような人物を舞台に配置することで、この狂言の奥行きの深さが感じられる。ことに「三次郎の叔母 塚本らく」役は、二代目石河薫、滝見すが子、義士廼家緑といったベテランを配し、「三次郎」自身の性格を側面から強調している。素人の一観客である私が言うのも何だが、名作中の名作、見事な脚本構成である。こんなエラそうなことを書いていると、いずれ「千の風」となり、ヤマチャンの元を訪れた時、二代目天外さんや藤山さんに「ションベンをチビル程、怒られる」かも知れませんね。イヤ、怒られるだけならまだしも、平戸敬二さんを交えた新作狂言の構成会議に、どう言う訳か引っ張り込まれて、仕方なくヤマチャンと私は、正座をして聞いています。と、突然、藤山さんが私に声を掛けます。「あんた、どない思う?」 た、た、た、助けてくれ〜〜〜!!!(2007年8月17日、記)
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【線路のこうろぎ】 館直志・作、平戸敬二・脚色、 |
ある駅の構内引込線の踏切り【人物】
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踏切警手 松本 :白羽 大介 |
森田 ふさ :酒井 光子 |
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近所の主婦 篤子 :岸本 康子 |
島崎 良治 :藤山 寛美 |
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同 富士子 :田代 博子 |
会社の重役 大和 :岩田 正 |
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保線作業員 A :泉 祐介 |
女事ム員 :四条 栄美 |
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同 B :里見たかし |
秋山 富江 :双葉 弘子 |
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同 吉田 :金乃 成樹 |
月掛集金員 荒木 京子:月城 小夜子 |
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同 西川 :渋谷 天笑 |
駅員 次田 :宮路 拓也 |
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同 宮本 :喜多 康樹 |
測量作業員 A :北 義剛 |
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会社員 倉橋 :樋口 勝次朗 |
同 B :関 義郎 |
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松本の娘 :鈴 知音 |
同 技師 国見 :伊吹 聡吾郎 |
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スクターの青年 :藤咲 賛多郎 |
同 技手 早川 :服部 哲治 |
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僧侶 :沢田 光生 |
同 助手 星野 :羽根田 竜美 |
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踏切警手 後藤 :中川 雅夫 |
自転車の少女 :若葉 美保子 |
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島崎の妹 明代 :滝 由女路 |
その他、女学生、通行の人、多ぜい |
【劇場中継スタッフ】
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チーフ・プロデューサー:大西 信義 |
第1カメラ :野村 武史 |
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プロデューサー :山田 直也 |
第2カメラ :西井 信夫 |
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ディレクター :鍛冶 國義 |
第3カメラ :橋本 喜隆 |
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フロァ・ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク) |
第3カメラ :田口 善敏 |
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アナウンサー :小松 昿代(フリー) |
音声 :丸尾 俊文 |
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照明 :楠山 敬司 |
音声 :車谷 隆史 |
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メイク :金森 美恵子 |
調整 :黒田 昌男 |
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テクニカル・ディレクター:伊藤 敏彦 |
調整 :宮内 良一 |
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スイッチャー :田口 善敏 |
VTR :青山 廸彦 |
【緞帳が降りて】もうすぐ廃線となる踏切の傍に生きている「こうろぎ」にも、五分の魂がある。生きて行く支えとなっていた夢がある。社会の片隅で細々と灯し続けた心の拠り所。それが無くなるなんて、そりゃ、あんまりやないですか!!! この物語は、踏切り番であった夫と息子を、人名救助による殉職のために亡くし、踏切りの傍にある社宅に住む「線路のこうろぎ」にも似たおばさんのお話しです。
踏切り警手の夫は5年前、自殺しようとした女の人を救助して殉職、夫の後を継いで踏切り警手となった息子もまた1年前、幼い女の子を助けようとして殉職。「森田ふさ」(酒井光子)は、鉄道会社の計らいで踏切の傍に立つ社宅に住み、近々建設されるハズの「森田父子殉職表賞記念碑」だけを楽しみに細々と生活しています。今日は息子・勝一の一周忌。勝一の婚約者であった「明代」(滝由女路)と同僚であった「踏切り警手・後藤」(中川雅夫)がお詣りに来ています。「明代」は勝一が殉職した“六番踏切”の近くにある商天街の役員をしている「島崎良治」(藤山寛美)の妹です。また、「後藤」は、非番であった「勝一」が自分のために仕事を替わり、その結果殉職してしまったと責任を感じ後悔しています。実は、今朝の新聞に「“六番踏切”一帯は高架となり、道路拡張工事のため、森田父子殉職表賞記念碑は取り止めになった」と報道されましたが、「森田ふさ」は、そのことを知りません。もちろん、「島崎」や「明代」「後藤」も知っていますが、「森田父子殉職表賞記念碑」を楽しみにしている「森田ふさ」には言い出せません。折しも、1年前に救助された女の子の父親の経営する会社から、重役(岩田正)が社員(樋口勝次朗、四条栄美)を伴ってお詣りに訪れます。聞けば、事故当時、女の子の両親はずっと海外に滞在しており、最近になってこのことを知り、命日にお詣りに行くように命じられてやってきた、と言います。聞いていた「後藤」が烈火のごとく怒ります。しかし、「森田ふさ」はお詣りに来て下さるだけでありがたい、と喜びますが、ご仏前にと差し出された50万の小切手は「勝一の命を金で売ったような気がすんねん」と断ります。泣きながらお供えを手渡す「女事ム員・光村」(四条栄美)に「森田ふさ」は言います。「あんた、泣いてくれはんのん・・・。おおきになぁ・・・。あんたの心のこもったお供えなら、喜んで頂戴しまっせ。おおきに・・・。よう泣いておくんなはったなぁ・・・。おおきに、おおきに」今度は5年前に夫が入院した時にお世話になった家政婦「秋山富江」(双葉弘子)が、今朝の新聞を手にして訪ねて来ます。「森田父子殉職表賞記念碑は取り止めになった」ことを知らせに来たのですが、「島崎」や「明代」が慌てて打ち消します。そこへ、拡張工事の測量技師(伊吹聡吾朗)たちが現れ、測量を始めます。「後藤」もあわてて出て来ます。「何をしてはりますのや」と問われた「島崎」は「記念碑をどの辺に建てよかいなァ、と測りに来てはりますのや」とごまかしますが、「明代」にはもう耐えられません。「明代」は記念碑は建たないが合同の慰霊塔が建つ、と説明しますが、「森田ふさ」は納得しません。「お父ちゃんと勝一だけの、二人だけの記念碑を建てて欲しいねん」と訴えます。さらには、今まで隠していた「島崎」や「明代」「後藤」を責め立てます。殉職したお父ちゃんと息子の記念碑建立を夢に見て、その完成を心待ちしていた「森田ふさ」の心の拠り所が、ガラガラと崩れて行ったのです。いよいよ大詰め。踏切の信号が点滅し、警報音が鳴り、ジーゼルカーが近付いて来ます。生きる望みを失った「森田ふさ」は「もうすぐ、あんた達のそばへ行くから、待っててや」と踏切に突進します。舞台は急に暗くなり、ジーゼルカーの轟音が一段と大きくなり、近付いて来たヘッドライトが踏切を照らします。「森田ふさ」は三人を振り切って、踏切に飛び込みます。演出に制約のある舞台でも、照明と音響効果と役者の演技力で、こんな迫力のある、緊迫したが舞台出来るのですね。ジーゼルカーは通り過ぎ、舞台は元の明るさに戻ります。「島崎」と「後藤」は、遮断機にしがみつき、「明代」は傍にしゃがみこんでいます。「森田ふさ」は向こう側の遮断機にもたれるようにして、気を失っていましたが、立ち上がって言います。「死ねなんだ。死ぬ気で踏切に立ったら、向こうから自転車に乗った女の子が来て、思わず飛び込んで反対側の遮断機を降ろしてしもうたんや。自分の事を考えんと、人さんの命を救うために、自分の命を投げ出したお父ちゃんや勝一の気持ちが、ようわかったわ。二人は記念碑を建てて欲しさに、自分の命を投げ出したんやない。それに、わては線路にしがみついて鳴いている“こおろぎ”みたいに、記念碑、記念碑言うて、誰にどない言うて詫びたらええのや、恥ずかしい。お父ちゃん、勝一、かんにんして」すべてを悟った「森田ふさ」は、郷里の山口県萩に帰ることを決心します。再び踏切の信号が点滅し、警報音が鳴り、ジーゼルカーが近付いて来ます。「島崎」は信号旗を振ろうとする踏み切り警手の「後藤」に言います。「その信号旗を、お別れに小母さんに振らしてあげてえな」「振らしてあげたいけど、係員の他は振ってはいかん規則です。これだけはあきまへん」「規則はわかってる。規則は規則や。そやけどな、君かて人間や。あんたが振っている旗を落としかけたら、小母さんが、あぁ落としたらいかん、と、手を添えに行ったのなら、規則違反にはならんのと違うか」。「森田ふさ」は、「後藤」と一緒に泣きながら信号旗を振り続けるのでした。こういう「松竹新喜劇」の舞台を観て、何度涙を流したことか。温かい人の心に感動し、思わず知らず泣けてくるのです。(2007年9月2日、記)
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【大当り高津の富くじ】 平戸敬二・作、
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第一場 東横堀安綿橋の袂第二場 大工の辰五郎宅
第三場 高津神社御神輿庫前
【人物】 (テレビ収録時)
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大工 八吉 :金乃 成樹 |
大工の小頭 市三 :曽我廼家 文童 |
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同 竹造 :喜多 康樹 |
辰五郎の若い衆 紋文 :足立 昌嗣 |
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芸者 色香 :四条 栄美(御薗恵美子) |
同 仁助 :篠原 小楽 |
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仲居 おきた :田代 博子 |
同 三太 :関 義郎 |
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手代 新助 :中川 雅夫(樋口勝次郎) |
同 兵六 :北 義剛 |
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髪床の弟子 留公 :藤川 八十吉 |
女中 おきち :月城 小夜子 |
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大工の棟梁 辰五郎 :高田 次郎(藤山 寛美) |
立花屋帳場 徳七 :長谷川 稔 |
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髪結い 辰吉 :小島 慶四郎 |
石田屋の男衆 :千葉 蝶志朗 |
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亀屋の番頭 太助 :守田 秀郎 |
初の家の仲居 お末 :岸本 康子 |
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同 御寮さん およね :酒井 光子 |
りん蝶の父 :八木 五文楽 |
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亀甲屋 宗平 : − (高田 次郎) |
料亭女将 お勝 :義士廼家 緑 |
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おちょぼ おくめ :若葉 美保子 |
奈良屋女主人 おまさ :滝見 すが子 |
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女義太夫 りん蝶 :御薗 恵美子(四条栄美) |
同 息子 正之助 :渋谷 天笑 |
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難波の仙兵衛 :曽我廼家 五九郎 |
同 女中 おたつ :千里野 朱美 |
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子分 熊吉 :羽根田 竜美 |
近所の男 甲吉 :宮路 拓也 |
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同 三八 :北 昌剛 |
同 乙三 :梓 太郎 |
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亀屋の若旦那 伊之助 :藤山 寛美(中川 雅夫) |
世話方 佐兵エ :白羽 大介 |
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小屋の者 由造 :沢田 光生 |
同 甲 :藤川 八十吉 |
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弟子 お花 :秋葉 陽子 |
同 乙 :足立 昌嗣 |
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太鼓持ち 仙八 :宮路 拓也 |
近所の男女 :太景井 淑衣 |
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芸者 染弥 :御陵 多栄子 |
通行の男女 :田辺 厚子 |
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同 小福 :滝 由女路 |
同 :山本 克枝 |
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同 友葉 :青葉 寿々代 |
同 :里美 羽衣子 |
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辰五郎の女房 おとき :大津 十詩子 |
伊之助 弟 宗次郎 :樋口勝次郎( − ) |
【劇場中継スタッフ】
プロデューサー :山田 直也
第1カメラ :野村 武史
ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク)
第2カメラ :西井 信夫
フロァ・ディレクター:鍛冶 國義
第3カメラ :橋本 喜隆
音声 :鈴木 輝彦
メイク :金森 美恵子
音声 :和田 貢
アナウンサー :小松 昿代(フリー)
調整 :黒田 昌男
照明 :楠山 恵司
調整 :田中 茂高
技術(TD) :伊藤 敏彦
車両 :西俣 忠信
スイッチャー :田口 善敏
技術協力 :榊原テレビ機配
【緞帳が降りて】
故・六代目松福亭松鶴さんの落語でお馴染みの「高津の富」を舞台化した平戸敬二さんの作品であるが、他にも落語、講談、浪花節の演目を舞台化した作品は、「紺屋と高尾」「春の夢 宝の入船」「左甚五郎噂双紙」「三軒長屋(正式な狂言名を失念)」等がある。演者ひとりが高座で演じ、聴き手の想像力に頼らざるを得ない舌耕芸とは違い、大掛かりな舞台装置を配し、芸達者な大勢の役者がそれぞれの役柄を競い、本来の噺を膨らませた展開を観せる、松竹新喜劇ならではの舞台化は、華やかでいい。
この狂言は、通常公演とテレビ収録時の役者さんは、上記のように変更されている。本来の公演時に登場する役名が削除され、新たなる役名の人物が登場する等、「オールリクエスト芝居」をやってのける劇団ならではの、大胆不敵、何でもござれ、収録スタッフよ、かかって来んかい、と言った自信に溢れた布陣となっている。関西には、松竹と吉本というお笑いを売る会社があるが、その本質は全く違うものである。すなわち、「吉本新喜劇」はその昔、笑いと涙の喜劇を目指した時代もあったようだが、しょせんは、会社の方針と劇作家、役者の違いはあろうが、月とスッポン程の差となって今日に至っている。観客の好みの問題なのかも知れない。確かに、お笑いを商売にすることを考えるならば、会社の経営方針、つまりは費用対効果ということになるのだが、さて、吉本新喜劇と松竹新喜劇の舞台で、あなたはどちらのお芝居が印象に残っていますか?もちろん、関西の民放局は吉本と松竹の芝居を放送して来た。事実、私も両方の中継録画に関わって来たが、私の精神構造からすれば、もちろん松竹新喜劇に、当然ながら軍杯を挙げる。私のお笑いの原点は高校時代に自作ラジオで親しんだ「東京落語」であるが、吉本のそれは簡単に言うと、「漫才の延長線上にあるコントに近い小芝居」である。もちろん「漫才」という「笑わす芸能」を嫌いな訳ではないが、私の一番の好みとは大きく違う。入社後10年が経ち、「上方芸能」編集部の勧めもあって大阪シナリオ学校に学んだ時、校長先生の漫才作家・秋田実さんは、こう言われた。「漫才は立ち話であり、喫茶店での会話だが、落語は短編小説。オー・ヘンリーの短編小説は、あれは落語だ」と・・・。未だに記憶に残っている言葉である。言われてみれば、確かにそうだ。オー・ヘンリーの「20年後」は、まさに松竹新喜劇の「上州土産百両首」ではないか。落語の「高津の富」に登場する主人公は、田舎から出て来た金持ちを自慢するウソツキの貧乏人の親父だが、「大当り高津の富くじ」の主人公は、京の御所、紀州様、備州様お出入りの、上等の紙を商う紙問屋「亀屋」という大店の「若旦那・伊之助」(藤山寛美)。実は、「亀屋の御寮んさん」(酒井光子)は後添えで、長男の「伊之助」とはなさぬ仲である。「贅沢まかりならぬ」とのお上のお達しにより、「亀屋」の商いは左前。500両のお金がなかったら、お店は人手に渡さねばならない瀬戸際である。弟に義理立てしたのか3ケ月前に家を飛び出し、「大工の棟梁・辰五郎」の家に居候を決め込んだ「伊之助」だが、「亀屋」の実情等、知ったことではない。落語「高津の富」が根底にある訳だから、「落ち」は始めから決まっている。その「落ち」向かって舞台が進行して行くが、これだけの舞台構成を生み出す劇作家・平戸敬二さんの創造力は凄い。新作を書き下ろす時はいつも、きっとワクワクしながら、筆を走らせているに違いない。毎度世間知らずの放蕩息子が登場しませんと、「松竹新喜劇」の幕も開かないのでございます。今日も今日とて「若旦那・伊之助」は、実家に金の無いことも知らず、「村田座の女義太夫・りん蝶」(御園恵美子)を助け、「手代・新助」(中川雅夫)と「芸者・色香」(四条栄美)の窮状を救います。5年前に助けた「材木商・奈良屋」が立ち直り、手土産代わりの100両を断る等、世間知らずのお金持ちのボンボンは違いますなぁ。第一場の幕切れは、「伊之助」を取り囲んだ馴染みの太鼓持ちや芸者衆が喋る「割り台詞」。七五調の耳障りのいい文句が、誠に芝居らしい雰囲気を醸し出します。考えてみれば、この「割り台詞」という台詞運びは、映画やテレビでは使わない、芝居独自の「台詞」形式ですね。御紹介しましょう。
役柄
役者
台詞
芸者 小福
:滝 由女路
「男がよくて 気がよくて」
同 友葉
:青葉 寿々代
「遊び上手は よけれども」
同 染弥
:御陵 多栄子
「浮気しゃんすが 玉に疵」
太鼓持ち 仙八
:宮路 拓也
「他の郭へ行く気なら 滅多にその手は」
芸者達
:滝、青葉、御陵
「離しまへん」
落語にもこの「割り台詞」を題材にした「きゃいのう」という噺がありますが、腰元三人の「割り台詞」『むさくるしいわい』『とっとと外へ行』『きゃいのう』の最後の「割り台詞」を喋る歌舞伎の大部屋俳優が主人公の落語です。柳家金語楼さんが得意としていたので、彼の創作かと思い「金語楼落語名作劇場」(新風出版社、昭和43年1月)を探しましたが、ありませんでした。また、第一場は昼と夜の場面転換がありますが、千葉蝶三郎さんが演じた「髪結い・長吉」を思い出します。あのとぼけた味のする千葉蝶さんが、髪結い床から出て来て、「あーあ、今日も日が暮れるか」と言うと、鐘の音がして急速に暗くなります。そこで、「ほーれ、暮れた」。笑えます。第二場は「大工の辰五郎宅」。お茶屋遊びの代金を使いの者に請求されたことから、辰五郎宅の窮状を知らされ、先日助けた「女義太夫・りん蝶」、「手代・新助」と「芸者・色香」らに、実家である「紙問屋・亀屋」の凋落ぶりを知らされます。折しも今日は「高津の富」の札差しの日、髪結い床で買わされた1枚の富くじを思い出し、藁にもすがる思いで、富くじを握りしめ、表へ出ます。「お母はーん、待っててや」と、帯を締め直して決まります。このような寸法の芝居をさせたら、藤山寛美さんと言う役者は、ホンマに上手いですね。芝居を観る楽しさが一段と増します。さていよいよ大詰めの第三場「高津神社御神輿庫前」です。千両の富くじに当たったことを知った時、藤山さんの狂喜する独り芝居は見ものです。頭のてっぺんから足のつま先に至るまで、早間の神楽囃子に身を任せ、全身全霊を込めた演技、正に藤山さんの芝居人生がそこに凝縮されています。第二場で高津神社へ向かう高田次郎さんの軽妙な芝居と言い、それを追う文童さんと月城さんのノリノリの芝居と言い、当たりくじを確認した文童さんと月城さんの演技と言い、「お祭り提灯」を思わせる賑やかで楽しいマゲモノ喜劇に仕上がっています。ここに出演している「藤川八十吉」さんは「曽我廼家八十吉」、「宮路拓也」さんは「曽我廼家玉太呂」、「北義剛」さんは「曽我廼家寛太郎」と改名し、米田亘さん主宰の曽我廼家喜劇「山椒の会」でも活躍しています。また、「滝見すが子」さんの娘「滝由女路」さんは「故・渋谷天外」さんの息子「渋谷天笑」さんと結婚し、その「渋谷天笑」さんは「三代目渋谷天外」を襲名しています。「藤山寛美十八番箱」に残された当時の舞台を観る楽しみは、もちろん「藤山寛美」と言う役者さんの芝居を、当時のまま再現してくれることではありますが、藤山さんの脇を固めた役者さんに思いを馳せることでもあります。(2007年8月23日、記)
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【南地大和屋へらへら踊り】 平戸敬二・作、稲垣治・演出
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第一場 高津神社西坂下の道路第二場 宗右エ門町「大和屋」の内玄関
第三場 名古屋・中山えんの家
第四場 「大和屋」の二階大広間
【人物】
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湯豆腐屋の客 甲 :仲 圭介 |
芸者 玉勇 :山田 弥生 |
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同 乙 :都筑 謙次 |
同 久栄 :安芸 佐代理 |
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湯豆腐屋の娘 きよ子 :前田 秀美 |
同 若次 :藤枝 由美江 |
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東西屋 勇吉 :曽我廼家 寛太郎 |
同 雪子 :大堀 香織 |
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きよ子の母 おとせ :岸本 康子 |
同 玉菊 :次乃女 裕美 |
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町内青年団 山川 :甲斐 正法 |
同 染香 :吉田 美穂 |
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同 木村 :曽我廼家 一二三 |
えんの娘 美佐子 :井上 英以子 |
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新派の役者 静川 光次:曽我廼家 玉太呂 |
煮豆屋 :沢田 光生 |
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同 伊島 峰男 :小島 慶四郎 |
中山 えん :酒井 光子 |
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お抱え俥夫 仙吉 :八木 五文楽 |
近所の娘 市子 :千葉 由香 |
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大和屋男衆 由やん :藤山 寛美 |
風呂へ行く男 :里見 隆 |
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同 政どん :喜多 康樹 |
稲山 清太郎 :中川 雅夫 |
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巴屋の女将 お千代 :宮村 八須絵 |
商工会議所会頭 藤沼 :金乃 成樹 |
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同 男衆 幸吉 :関 義郎 |
銀行頭取 馬谷 :曽我廼家 五九郎 |
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大和屋仲居 お松 :花井 万津恵 |
電鉄社長 鳥井 :曽我廼家 八十吉 |
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芸者 梅弥 :月城 小夜子 |
貿易振興会会長 勝原 :梅大路 満 |
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同 いろ香 :滝 由女路 |
阪口 祐三郎 :高田 次郎 |
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同 菊千代 :千里野 朱美 |
近所の人 :田辺 厚子 |
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大和屋仲居 お作 :瀬々良木 澄江 |
同 :里美 羽衣子 |
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同 女将 :義士廼家 緑 |
同 :木曽川 満 |
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芸者 笑鶴 :四条 栄美 |
同 :藤田 功次郎 |
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同 初丸 :御陵 多栄子 |
【劇場中継スタッフ】
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プロデューサー :山田 直也 |
第1カメラ :坂口 拓磨 |
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ディレクター :相原 康司(ビデオワーク) |
第2カメラ :田口 善敏 |
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フロァ・ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク) |
第3カメラ :上野 喜三男 |
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アナウンサー :小松 昿代 |
音声 :木下 裕正 |
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照明 :笠井 宏一 |
音声 : ? |
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メイク :金森 美恵子 |
調整 :寺田 成桐 |
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テクニカル・ディレクター:田口 善敏 |
VTR :熊倉 正彦 |
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スイッチャー :野村 武史 |
技術協力 :榊原テレビ機配 |
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制作協力 :ビデオワーク、松竹 |
【緞帳が降りて】大坂切っての由緒ある料亭「南地大和屋」は、我々ごときサラリーマンが行ける場所ではない。それこそ、政財界の偉ら〜い方々の社交場であった訳だ。しかし、「南地大和屋」の二階に設けられた、三階までを吹き抜けにして造った能舞台のある座敷に、座ったことはある。但し、座って支給された「大和屋の高価なお弁当」を食べただけのことである。それがいつの事であったのか、も解らないし、総工費5憶円の能舞台で何が行われたのかも、思い出せない。その昔、「11PM」という番組があった。日本テレビが月・水・金曜日放送、読売テレビは火・木曜日を担当し、昭和40(1965)年の秋口から始まった。深夜時間帯の入り口である「ネオプライムタイム」と呼ばれる午後11時台の番組開発のために企画された放送番組で、平成2(1990)年3月まで続いた長寿番組である。一言で言うならば、「11PM」は、我が青春を貫く縦軸であり、その両側に月1回の「松竹新喜劇の劇場中継」と、シーズン限定の関西地区球場を中心とした「プロ野球中継」が横軸としてある。由緒ある料亭「南地大和屋」からの「11PM中継」は、全く何の記憶もないが、唯ひとつだけ鮮明に憶えていることがある。それはカメラ操作のため、芸者衆に対し座る位置の注文を出したことだ。出来るだけタイトに撮りたい私は、もっと隣の人に寄って欲しい、とお願いしたが、聞き入れては貰えなかった。どうしてですか、と聞いたところ、その芸者さんが言った。「あなたのお気持ちは解りますが、たとえテレビとはいえ、畳の縁に座ること等出来ません。そんな作法は私たちの世界にはありません」と、断られてしまった。尤もな主張であったと、今になっても忘れられない出来事である。
またまた前置きが長くなってしまった。本題に戻ろう。芝居を観る楽しさの中に、その時代背景や風物、服装を知り、使われなくなった言葉を思い起こしてくれることがあります。今回の狂言は、関東大震災直後の時代であり、第一場の幕開きに「東西屋」という職業が出て来ます。「とざい、とーうざい」というところからの命名でしょうね。放送時間の関係で、「第二場」と共にカットされています。また、名古屋の場面では「煮豆屋」という行商人が登場します。「先々の 時計になれや 小商人」。煮た豆を売って生計を立てる小商人がいて、それを求める家庭があったという時代ですね。「へらへら踊り」を教わるために名古屋に向かうことになりますが、「湊町駅から出発」というのも時代を感じさせます。また、「割りない仲となる」という台詞も出て来ますが、男と女の間柄を語る上で、豊かな日本語の表現であると言えます。この狂言は「南地大和屋」の名物「へらへら踊り」が完成するまでのエピソードを時間軸にして、親と名乗れぬ母親「中山えん」(酒井光子)のわが子に対する情愛を、兄と声を掛けられない「その娘・美佐子」(井上英以子)の複雑な気持ちを、「大和屋男衆・由やん」(藤山寛美)の狂言回しを中心にして描く、私好みの目頭が熱くなる「松竹新喜劇」らしいお芝居です。実の息子である「稲山紡績社長・稲川清太郎」(中川雅夫)は、突然現れた「中山えん」(酒井光子)を「へらへら踊り」のお師匠さんとしか思っておりませんが、いつの日にか、隠された自分自身の出生の秘密を知るのでしようか。いやいや、そのようなことを詮索するのは止めましょう。この種の狂言は、会うことはあるまいと思っていた息子に、今会えたことを素直に喜んでいる母親に感情移入して、「よかったね」と、嬉し涙と共に幕を降ろしましょう。「中山えん」(酒井光子)が生きている限りは、「大和屋男衆・由やん」(藤山寛美)が料亭「南地大和屋」に勤めている限りは、例え親子の名乗りは出来なくても、「へらへら踊り」のお師匠さんとして、また会うことがあるのかも知れません。しかし、「大和屋男衆・由やん」が、こんなに早く亡くなるとは・・・、世の中は解らないものです。この狂言は昭和50年7月新橋演舞場公演でも上演されている。11年後に上演された狂言と、役者が違うのは当たり前だが、場割りも、役柄も、そして、何よりもストーリーそのものが大きく異なっているので、後学のために記録しておこう。
昭和50年7月新橋演舞場公演 場割り
第一場 南地大和屋の芸妓検番所(大正12年9月)
第二場 名古屋大須に近い中山えんの家(同 数日後)
第三場 南地大和屋の内玄関(昭和3年11月)
第四場 同 二階の大広間(同日)
昭和61年10月南座公演 場割り
第一場 高津神社西坂下の道路
第二場 宗右エ門町「大和屋」の内玄関
第三場 名古屋・中山えんの家
第四場 「大和屋」の二階大広間
昭和50年7月新橋演舞場公演
昭和61年10月南座公演
男衆 竹どん :曽我廼家 文童
−
帳場 辰己 :白羽 大介
−
番頭 東野 :小島 慶四郎
−
留どんの母 おきぬ :石河 薫
−
仲居 あい子 :四条 栄美
−
下足番 留どん :藤山 寛美
大和屋男衆 由やん :藤山 寛美
煮豆屋 :沢田 光生
煮豆屋 :沢田 光生
えんの娘 美佐子 :曽我廼家 鶴蝶
えんの娘 美佐子 :井上 英以子
中山えん :酒井 光子
中山えん :酒井 光子
文部省役人 堀田 :八木 五文楽
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大和屋主人 坂口祐三郎:花和 幸助
大和屋主人 坂口祐三郎:高田 次郎
同 女将 おきみ :勝浦 千浪
同 女将 きみ :義士廼家 緑
商工会議所会頭 稲山勝太郎:小島 秀哉
商工会議所会頭 稲山勝太郎:中川 雅夫
私の担当 :第2カメラ
私の担当 :TD/第2カメラ
「新橋演舞場版」と「南座版」の大きな違いは、藤山さんの役どころである。「南座版」では、単なる「大和屋の男衆・由やん」であるのに対し、「新橋演舞場版」では、「大和屋の下足番・留どん」は、「へらへら踊りのお師匠さん・中山えん」が産んだ子供になっている。
つまり、「大和屋の下足番・留どん」は、元はといえば北浜の株屋の大店「池枡証券」の息子で、今はもう逼塞している。大和屋の主人が丁稚奉公している時分に、「池枡」の御主人にお世話になり、その恩返しのため息子を下足番として雇い入れている。「留どんの母親・おきぬ」(石河薫)はまだ健在で、大和屋が関東大震災の救援物資として引き受けた着物を縫い上げる作業のお手伝いもしている。二番目の違いは、大和屋の使用人である藤山さんが、「南座版」では芸者さんと「へらへら踊り」を教わるために名古屋へ行くのであるが、「新橋演舞場版」では「お師匠さん・中山えん」を訪ねて、大阪で稽古をして欲しい、とお願いの使者に立つ、ことになっている。「大阪にはある人と約束があるために行けません」と言う「お師匠さん・中山えん」(酒井光子)の話を聞く内に、「下足番・留どん」は、「お師匠さん」が自分の母親であり、そこにいる「娘・美佐子」(曽我廼家鶴蝶)が自分の妹であることを知ってしまうのです。「下足番・留どん」の「母親」は、出生の秘密をすべて知っているため、「留どん」が「中山えん」を迎えに行くことを知れば、当然反対もするだろうが、母親に相談する間もなく、すぐに出発しなければならないように、巧妙なストーリー展開になっている。「中山えん」が大和屋の芸者衆に「へらへら踊り」を教えている間、「留どん」の「母親」は大和屋に近付くこともなく、「中山えん」に会うこともなく亡くなってしまう。この間、「留どん」は「中山えん」に対し自分が子供であることは隠し続けている。そして5年の月日が経った昭和3年11月13日(黒幕に「それから五年経過」と写し出されます)、昭和天皇御即位の御大典奉祝に湧く大阪の街。芸妓連中を連れて商工会議所を訪れた「大和屋主人・阪口祐三郎」(花和幸助)は、意外な事実を耳にします。「商工会議所会頭・稲山勝太郎」(小島秀哉)は少年の頃、「池枡商店」に丁稚奉公しており、「勝どん」と呼ばれていたと言うのです。いよいよ大詰め「第四場 大和屋の二階大広間」。大和屋の名物となった「へらへら踊り」を見るために、「お師匠さん・中山えん」と「娘・美佐子」が大和屋を訪れています。無理矢理呼び出された「下足番・留どん」は、借り物の紋付羽織姿で出て参ります。「商工会議所会頭・稲山勝太郎」は「留どん」のことを宴席の皆さんに紹介します。「少年時代に丁稚奉公していた池枡証券のひとり息子・留太郎さんです」 聞いていた「中山えん」と「娘・美佐子」は吃驚します。仕方なく「留どん」は告白します。実の母親に会えたことを喜んでくれた育ての母の苦しみ・・・、ましてや、実の母と知りながら名乗ることが出来ない己の苦しみ・・・。「大和屋の女将・おきみ」(勝浦千浪)は言います。「何もかも忘れて、お母さんと呼んであげてもらえんやろか」と。「折角でおますけど、私は3年前に死んだ人が、ほんまのお母はんと思てます。他に私が・・・、お母はんと呼ぶ人は・・・、あらしまへん」聞いた実母の「中山えん」は言います。「ご立派でございます。それでこそ、池田留太郎さんで・・・。私もこれで思い残すことはありません。もう二度とお会いすることはないと思います」直後に「番頭・東野」(小島慶四郎)が、「主人・阪口」の保有している株券がハネ上がったことを知らせに参ります。この株券は「留どん」も僅かですが持っています。「主人・阪口」は儲けたお金をそっくりそのまま、「池枡証券」再興に賭けると約束します。「商工会議所会頭・稲山勝太郎」も投資を約束します。立ち去ろうとする「中山えん」に「留どん」じゃなかった「二代目・池枡証券」の「池田留太郎」が声を掛けます。「お母ちゃん!」 「下足の留どんではお母ちゃんとよぶのが恥ずかしかった。池枡の暖簾が吊れるとなったら、呼ばしてもろてもええやろう。お母ちゃん、あんたに産んでもろうた留太郎はわしや。お母ちゃん、お母ちゃん」こうして、親子の名乗りも出来、会社再興のメドも立ち、「仲居・あい子」(四条栄美)との婚礼もまとまりそうな雰囲気の中で、南地大和屋名物「へらへら踊り」のはじまり、はじまり。親子の名乗りをするべきか、否か。それが問題だ。料亭「南地大和屋」は、平成3(1991)年秋に休業し、能舞台は東京・中野の梅若能楽学院会館に移された、と言う。(2007年9月7日、記)
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満員御礼 【噂草紙・左甚五郎】 山田格・原案、平戸敬二・脚本、稲垣治・演出
昭和62年2月中座公演、「藤山寛美新十八番箱-壱」収納、TD/スイッチャー担当
【同作品の我が「青春の缶詰め」】
昭和56年10月中座公演「左甚五郎噂双紙」、スイッチャー担当
第一場 鬼子母神堂参道の茶店第二場 源助の家
【人物】
参詣の娘 お市 :瀬々良木 澄江
遊び人 丑三 :曽我廼家 五九郎
同 お甲 :前田 秀美
同 馬吉 :甲斐 正法
参詣の夫 清三 :仲 圭介
問屋の番頭 丹兵エ :八木 五文楽
その女房 お倉 :安芸 佐代理
近所の女房 おちか :宮村 八須絵
旅商人 駒吉 :結城 市朗
源助の妹 お種 :月城 小夜子
同 政次 :都筑 謙次
源助の女房 おきく :正司 照恵
茶店の女中 おとき :花井 万津恵
西国家 お友 :酒井 光子
宮大工の棟梁 佐兵エ :伴 心平
女金貸し お蝶 :義士廼家 緑
女房 お萬 :岸本 康子
家臣 竹川 :沢田 光生
弟子 初造 :曽我廼家 玉太呂
近習頭 山田武太夫 :梅大路 満
同 安吉 :関 義郎
お局 松ケ枝 :井上 英以子
同 音松 :木曽川 満
腰元 常盤 :藤枝 由美江
茶店の亭主 治作 :小島 慶四郎
同 白梅 :千里野 朱美
同 女房 おかく :四条 栄美
同 紅梅 :山田 弥生
鬼子母神の源助 :藤山 寛美
同 萩乃 :前田 秀美
小間物屋 太助 :喜多 康樹
同 山吹 :大堀 香織
その女房 お雪 :御陵 多栄子
同 巴乃 :姿 美穂
同 三河 :里見たかし
供奴 甲 :甲斐 正法
飛騨の甚五郎 :高田 次郎
同 乙 :曽我廼家 一二三
駕や 亀八 :曽我廼家 八十吉
同 丙 :藤田 功次郎
同 助松 :曽我廼家 寛太郎
その他参詣の人多ぜい :千葉 由香
おかくの弟 卯之助 :中川 雅夫
同 :里見 羽衣子
その女房 おてる :滝 由女路
同 :田辺 厚子
【劇場中継スタッフ】
プロデューサー :山田 直也
第1カメラ :加藤 義作
ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク)
第2カメラ :徳久 多久美
フロァ・ディレクター:相原 康司(ビデオワーク)
第3カメラ :上野 喜三男
アナウンサー :小松 昿代(フリー)
音声 :村田 礼助
照明 :三石 日出夫
音声 :鈴木 輝彦
メイク :金森 美恵子
調整 :寺田 成桐
テクニカル・ディレクター:田口 善敏
車両 :西俣 忠信
スイッチャー :田口 善敏
制作協力 :ビデオワーク
【緞帳が降りて】「松竹新喜劇」の興行は、昼夜3本建てで行われるが、昭和62年2月中座公演は、珍しく昼夜2本建ての公演となっている。後学のために記録しておこう。
昼の部
夜の部
(一)「名代きつね寿し」
(一)「南地大和屋へらへら踊り」
(二)「お多やんの千鳥足」
(二)「噂草紙左甚五郎」
このため、各狂言の公演時間が長く、とても放送時間内に納まらないために、「噂草紙左甚五郎」の第一場、第二場共に幕開きの部分が大幅にカットされている。すなわち、鬼子母神さんがいかに霊験あらたかな神様であるか、参道にある茶店の名物が「茶めし」であること、宮大工の棟梁が2年を費やして建立したこと、等が、参詣人によって語られているが、そこはカットされている。また、第二場の幕開きに、主人公(藤山寛美)の旅籠を訪ねて来た内職問屋の番頭(八木五文楽)、近所の女房(宮村八須絵)と主人公の妹(月城小夜子)の芝居、困窮した親子に金子を渡す同業者の女将(酒井光子)との芝居がカットされている。逆に、主人公と女金貸し(義士廼家緑)との軽妙なやりとりは、延々と残されている。長くも短くも、どうにでも出来る芝居達者な喜劇集団の強みである。
お金もないのに、見ず知らずの薄汚い親父を連れて帰る設定は、「筑前みやげ」と同じ筋立てであり、そう言えば、両狂言の主人公は両方共に安宿の主人である。連れて帰った薄汚い親父が「博多人形師」か「左甚五郎」の違いであり、大詰めは場所が違うものの、お武家さまが登場する。「はなの六兵衛」もそうだが、最後は見たこともないような大枚の金子を与えられ、めでたし、めでたし。この種の狂言の幕切れは、こうでなくてはならないのだ。語り継がれる大衆芸能の主人公は、こうでなくては観客が承知しないのだ。一方でお客さんは、何故大枚の金子が転がり込んで来たのか、タナボタの不労所得ではないことも、よーく知っているのだ。左甚五郎という匠が実在したのかどうかは知らないが、浪曲や講談、落語でお馴染みの人物である。この狂言では浪曲師・京山幸枝若さんがよく口演していた「竹の水仙」が取り上げられている。浪曲に語られる「左甚五郎」は、お笑いの色が濃く、いわば「チャリ」と呼ばれる分野で、どちらかと言えば、その業界では少し低く見られたジャンルであった。しかし、お笑いの好きな関西では、「水戸黄門」の日吉川秋斎、等に人気があったことは確かである。私が好んで聴いた浪花節・浪曲は、「忠臣蔵」や「佐渡情話」、「天保水滸伝」のような重苦しいものではなく、むしろ広沢虎造「清水の次郎長」や三門博「唄入り観音経」、相模太郎「灰神楽道中記」のような、軽くてテンポのある節回しの“笑える浪花節”であった。ボーイズ物の元祖である「あきれたボーイズ=ダイナ・ブラザーズ」を好きなのも、この辺にあるのだろう。晩年の広沢瓢右衛門さんの「雪月花三人娘」「宮様の自転車」を北御堂会館で聴いたことがある(昭和52年頃)が、これもまた、楽しい浪曲であった。瓢右衛門さんの絶品は、何と言おうと「伊藤博文英国密航」ですね。最後の最後に急テンポの“バラシ”で語られる、横浜から地球を半周する“道中づけ”は圧巻です。お笑いのジャンルを「チャリ」と蔑んだ浪曲業界が衰退したのは、ここにあるのではなかろうか。一方、落語の世界でも、左甚五郎は「抜け雀」という噺を残している。この噺は「男はつらいよ」でも、「アバンタイトル」として使われている有名な逸話である。「七段目」「蔵丁稚」「仲村仲蔵」等の「芝居噺」というジャンルは、舞台狂言のパロディ落語化とも言うべきものであり、「芝居」「落語」「浪曲」「講談」等、大衆芸能のネタは、みんなイケイケになっている。違いは唯ひとつ、舞台装置を使い、扮装した役者が集団で演じるか、舌先三寸の舌耕芸、喋るか、唸るか、語るか、の伝達形態の差だけである。連続公演180ケ月となった昭和56年10月中座の舞台でも「左甚五郎噂双紙」を上演している。なお、楽日の緞帳が降りてからの模様は、「藤山寛美十八番箱」のプレゼント映像「ドキュメンタリー 役者一代 藤山寛美の世界」(昭和56年12月放送)に記録されている。さらに、昭和62年2月の中座公演は、藤山寛美さんが舞台に復帰した昭和41年11月中座公演から数えて21年、連続無休公演244ケ月に終止符を打つことになる、言わば記念すべき前人未到の大詰めの舞台でも「噂草紙左甚五郎」を上演している。奇しき縁がある「狂言」と言えるだろう。この記念すべき舞台に、青差し五貫文の御褒美などケチくさい。「大坂御城代阿部備中守様奥方様」と今宵御観劇のお客様が、「山城の国伏見の住人、京は禁裏大工の棟梁、法橋(ほうきょう)の位に任ぜられし飛騨の甚五郎殿」に下されし大枚の金子、「鬼子母神の源助殿」、「松竹新喜劇の皆さま方」、さ、さ、遠慮のうお受け取り下され。それでは、後学のためにふたつの狂言の主な役柄と役者さん、制作スタッフを記録しておこう。【主な人物】
昭和56年10月中座公演「左甚五郎噂双紙」
昭和62年2月中座公演「噂草紙左甚五郎」
宮大工の棟梁 茂兵エ :八木 五文楽
宮大工の棟梁 佐兵エ :伴 心平
女房 お万 :滝見 すが子
女房 お萬 :岸本 康子
弟子 初造 :曽我廼家 五九郎
弟子 初造 :曽我廼家 玉太呂
同 安吉 :宮路 拓也
同 安吉 :関 義郎
同 音松 :藤川 八十吉
同 音松 :木曽川 満
茶店の亭主 治作 :喜多 康樹
茶店の亭主 治作 :小島 慶四郎
同 女房 おかく :大津 十詩子
同 女房 おかく :四条 栄美
鬼子母神の源助 :藤山 寛美
鬼子母神の源助 :藤山 寛美
参詣の人 太助 :金乃 成樹
小間物屋 太助 :喜多 康樹
その女房 お雪 :御陵 多栄子
その女房 お雪 :御陵 多栄子
飛騨の甚五郎 :小島 慶四郎
飛騨の甚五郎 :高田 次郎
駕や 亀八 :曽我廼家 文童
駕や 亀八 :曽我廼家 八十吉
同 助松 :渋谷 天笑
同 助松 :曽我廼家 寛太郎
お志乃の亭主 幸之助 :中川 雅夫
おかくの弟 卯之助 :中川 雅夫
茶店の女 お志乃 :四条 栄美
その女房 おてる :滝 由女路
遊び人 丑三 :伊吹 聡吾朗
遊び人 丑三 :曽我廼家 五九郎
問屋の番頭 丹兵エ :長谷川 稔
問屋の番頭 丹兵エ :八木 五文楽
近所の女房 おちか :双葉 弘子
近所の女房 おちか :宮村 八須絵
源助の妹 お種 :月城 小夜子
源助の妹 お種 :月城 小夜子
源助の女房 おきく :正司 照恵
源助の女房 おきく :正司 照恵
西国屋 お友 :勝浦 千浪
西国屋 お友 :酒井 光子
金貸し 九郎右エ門 :伴 心平
女金貸し お蝶 :義士廼家 緑
家臣 竹川 :岩田 正
家臣 竹川 :沢田 光生
用人 山田武太夫 :守田 秀郎
近習頭 山田武太夫 :梅大路 満
お局 松ケ枝 :酒井 光子
お局 松ケ枝 :井上 英以子
私の担当 :スイッチャー
私の担当 :TD/スイッチャー
【劇場中継スタッフ】 昭和56年10月中座公演「左甚五郎噂双紙」
チーフ・プロデューサー:大西 信義
第2カメラ :徳久 多久美
プロデューサー :山田 直也
第3カメラ :橋本 喜隆
ディレクター :鍛冶 國義
音声 :和田 貢
フロァ・ディレクター :香西 謙二(ビデオワーク)
音声 :車谷 隆史
メイク :金森 美恵子
調整 :黒田 昌男
アナウンサー :小松 昿代(フリー)
調整 :宮内 良一
照明 :楠山 恵司
VTR :青山 廸彦
技術 :伊藤 敏彦
車両 :西俣 忠信
スイッチャー :田口 善敏
技術協力 :関東電機、榊原テレビ機配
第1カメラ :野村 武史
制作協力 :ビデオワーク、松竹
(2007年9月4日、記)